アートメイクは1回の施術だけでは定着しにくく、2回目以降の施術が必要とされています。しかし、いつ2回目の施術を受ければいいか分からない方も多いでしょう。

本記事では、2回目のアートメイクに適したタイミングや判断の目安、注意すべきポイントを分かりやすく解説します。満足のいく仕上がりを目指すために、ぜひ参考にしてください。

アートメイクに2回以上の施術が必要な4つの理由

アートメイクは、初回施術だけでは理想の仕上がりを長く維持することが難しく、多くの場合2回以上の施術が推奨されます。ここでは、その主な理由を4つ解説します。

1回目では色素が完全に定着しにくいため

アートメイクは、表皮と真皮の境界付近から真皮のもっとも浅い部分にかけて色素を注入しますが、この色素は永遠にその場にとどまるわけではありません。特に初回施術は、肌が色素をはじいたり、ターンオーバーによって色が抜けやすかったりするため、定着率は30~50%程度にとどまるケースが一般的です。

アイラインの場合も例外ではなく、1回目の段階では色ムラや薄さが残る可能性があります。理想の発色や形を実現するには、2回目以降の施術が欠かせません。多くのクリニックでは、初回から数週間経過後の再施術を前提としたプランを提案しています。

デザインを細かく調整するため

多くの場合、初回のアートメイクは、実際の仕上がりを確認してから細部を調整できるよう、やや控えめな色味や形でデザインされます。これは、施術直後は色が濃く見えやすく、時間とともに自然に薄まる特性があるためです。

初回の段階で完成形に近づけすぎると、不自然な印象になる可能性も否めません。2回目の施術では、左右のバランスや濃淡、長さ、太さなどをより精密に整え、理想の形へ近づけます。こうした工程を経ることで、表情や骨格になじむ自然な仕上がりが実現します。2回目以降の施術は、アートメイクの完成度と満足度を高めるために欠かせないステップです。

変色や退色を防止するため

1回目だけのアートメイクでは、色素が浅く入る傾向があり、定着が不十分だと早期に退色や色の変化が起こりやすくなります。特に肌質やライフスタイルによっては、紫外線や摩擦の影響で色みが赤っぽくなったり、グレーがかって見えたりすることがあるため注意が必要です。

2回目の施術では、こうした色の変化を補正し、均一で安定した発色に仕上げられます。また、色素を重ねて定着させると色持ちがよくなり、日常のメイク時間の短縮やメンテナンスの頻度軽減にもつながります。

仕上がりを維持するため

2回目の施術を行う理由の一つに、美しい仕上がりを長期間維持できる点が挙げられます。繰り返しの施術によって色素の層がしっかりと重なり、日常生活での摩擦や紫外線による影響を受けにくくなるため、色落ちの速度が緩やかになり、リタッチの間隔も長く取れるのが大きな魅力です。

さらに、均一な発色と形が保たれることで、ノーメイクでも自信を持てる状態が続きます。結果として、毎日のメイク時間の短縮やストレス軽減にもつながり、コストパフォーマンスの面でもメリットが期待できるでしょう。

2回目のアートメイクに適したタイミングはいつ?

アートメイクの2回目の施術が行われる時期は、初回から1~3カ月後が一般的です。施術後は肌がダメージを受けている状態なので、かさぶたが自然に剥がれて、色ムラや抜け具合がはっきりするタイミングが適しています。

2回目の施術が早すぎると、肌が回復しきっていないため色が定着しにくくなる可能性があります。反対に遅すぎた場合は、初回の色素が抜けてしまい修正が困難になるでしょう。

ただし、2回目の施術に最適なスパンは部位によって異なります。例えば、眉は比較的回復が早い特徴があるほか、リップはターンオーバーが早く色抜けしやすい点に注意しなければなりません。こうした点を踏まえて、施術者と相談しながら2回目の時期を決めることが大切です。

2回目のアートメイクを決める3つの判断ポイント

2回目のアートメイクは、やみくもに時期を決めるのではなく、仕上がりや肌の状態、契約条件などを総合的に判断してスケジュールを組むことが大切です。ここでは、施術のタイミングに迷ったときの参考となる3つのポイントを紹介します。

色ムラや色の抜け具合

2回目の施術を検討する際は、はじめに仕上がりの色ムラや濃淡の差を確認しましょう。

1回目の施術後は、ターンオーバーやかさぶたの剥離によって色素が部分的に抜けることがあります。左右で色の濃さに差があったり、境界線があいまいになったりする場合は、2回目に適したタイミングです。また、メイクで補う必要がある場合も再施術のサインといえます。

色素の定着は個人差が大きいため、見た目の状態を基準に、必要に応じて2回目の予約を入れるとよいでしょう。

肌の回復状態や赤み・乾燥の有無

2回目を受ける前には、施術部位の回復状況を必ず確認しましょう。十分に回復していない状態で施術すると、定着率の低下や色ムラ、さらには肌トラブルの悪化を招くおそれがあります。初回でできたかさぶたが完全に剥がれ、赤みやかゆみが治まっていることが理想です。

特に、唇は乾燥や荒れが起きやすく、眉やアイラインよりも回復に時間がかかる傾向があります。2回目の施術は、肌の状態を踏まえて時期を調整し、違和感がある場合は無理に受けないことが大切です。

施術したクリニックの有効期限

初回と2回目がセットになっているプランでは、2回目の施術期限があらかじめ決められているケースが一般的です。期限内であれば追加料金なしで受けられますが、期間を過ぎると再度料金が発生する場合もあります。そのため、肌状態や色の抜け具合を見極めつつも、有効期限を意識したスケジュール管理が必要です。

特に人気クリニックは予約が埋まりやすく、希望日に受けられない可能性もあるため、早めに日程を確保しておくとよいでしょう。

初回のアートメイクの定着を促す4つのコツ

アートメイクの仕上がりや色持ちは、施術技術だけでなく、その後のケアによっても大きく左右されます。特に初回は色素が抜けやすく、適切なアフターケアを行うことが大切です。

ここでは、初回のアートメイクをより美しく長持ちさせるために意識したい4つのポイントを紹介します。

軟膏で保湿する

施術後は、医師や施術者から処方された軟膏を指示どおりに使用し、乾燥や炎症を防ぎましょう。乾燥は肌のターンオーバーを乱し、色素が抜ける原因になりかねません。適切な塗布によって施術部位が保護され、自然治癒の促進にもつながります。

特に、施術後1週間程度は色素が落ちやすい時期です。そのため、適量の軟膏を塗り安静に過ごすように留意しましょう。また、塗布する際は、清潔な手や綿棒を使用して、必要以上に擦らないことも大切です。

ピーリングは避ける

施術部位にピーリングを行うと、皮膚の表面が剥がれやすくなり、定着した色素まで一緒に失われるおそれがあります。化学的ピーリングだけでなく、ピーリング作用を持つ洗顔料や化粧品も注意が必要です。

特に施術後1~2週間は、AHAやBHAなど角質除去成分を含むスキンケア用品の使用を控えましょう。肌を刺激せず、自然な治癒を促す環境を整えることが、色持ちをよくするための大切なステップです。

洗浄力の強い洗顔やクレンジングは使わない

クレンジングオイルやスクラブ入り洗顔料など、洗浄力の強いアイテムは施術部位に刺激を与え、色素の定着を妨げる可能性があります。また、摩擦や油分によって色が抜けやすくなるだけでなく、肌荒れや炎症を引き起こす原因にもなりかねません。

施術後しばらくは、低刺激タイプの洗顔料やクレンジングを選び、ぬるま湯で優しく洗い流すことが大切です。洗顔後はこすらず、タオルで軽く押さえるように水分を取りましょう。

日焼け対策を徹底する

紫外線は色素の分解を促進し、色あせや変色の原因となります。施術後は肌が敏感になっているため、日焼けによるダメージも受けやすい状態です。

外出時は日焼け止めをこまめに塗り直し、帽子やサングラスなどで物理的に紫外線を防ぎましょう。特にリップや眉など、直接日光を浴びやすい部位は念入りなケアが必要です。日焼け対策を徹底することで、色素の持ちがよくなり、仕上がりを長く維持しやすくなります。

2回目の施術後に気を付ける5つのこと

2回目の施術後は、色素の定着を促し、仕上がりを長持ちさせるためのアフターケアが欠かせません。施術直後の肌は敏感で、少しの刺激でも炎症や色ムラの原因となります。ここでは、ダウンタイムを快適に過ごし、トラブルを防ぐために意識しておきたい5つの注意点を紹介します。

施術当日は飲酒や刺激物を控える

施術当日は、アルコールや辛い食べ物など、血流を促進させるものは避けましょう。血行が活発になると、施術部位の腫れや出血が増え、色素の定着を妨げるおそれがあります。また、サウナや熱いお風呂、汗をかく運動も同様にリスクを高めるため避けたほうが無難です。

施術後は最低でも当日は安静に過ごし、体温や血流が上がらないよう心がけましょう。翌日以降も、腫れや赤みが残っている場合は刺激を控え、回復を優先することをおすすめします。

保湿や紫外線対策に留意する

術後の肌は乾燥しやすく、バリア機能も低下しています。乾燥は肌のターンオーバーを乱し、色素が抜ける原因になるため、継続して保湿をしましょう。

さらに、紫外線は色素の分解を促進し、色あせや変色を引き起こします。外出時は日焼け止めを塗り、帽子やサングラスなどで物理的に遮断することが大切です。適切な保湿と紫外線対策によって、色持ちをよくし、美しい仕上がりを長く維持しやすくなります。

術後1週間はメイクを避ける

施術部位はデリケートな状態が続くため、術後1週間ほどはメイクを控えましょう。特に眉やアイライン、リップのように直接触れる部位は、雑菌が入りやすく炎症や感染症の原因になります。また、メイクを落とす際のクレンジングや摩擦が、色素の定着を妨げるおそれもあるため注意が必要です。

どうしても必要な場合は、施術部位を避けてポイントメイクを行い、クレンジングも優しく短時間で済ませることを心がけてください。

施術部位をぬらさないように注意する

施術直後は、施術部位が水に触れると色素が流れ出しやすくなります。洗顔や入浴時には、水分が直接かからないよう注意しましょう。

どうしても洗顔が必要な場合は、コットンやぬれタオルで拭き取るなどの方法で対応すると安心です。入浴時は、長時間の湯船は避け、シャワーで短時間に済ませるようにしましょう。サウナや岩盤浴など大量に汗をかく行為も同様に控えることが望ましいです。水分や汗による色ムラや定着不良を防ぐため、少なくとも術後1週間程度は徹底してケアを行い、美しい仕上がりを守りましょう。

かゆみや腫れが出たら冷却する

術後にかゆみや腫れが出るケースは珍しくありません。こうした症状が出た場合は、タオルに包んだ氷や保冷剤を患部やその周辺に当てて優しく冷却しましょう。ただし、直接氷を当てると刺激になるため避けてください。また、連続して冷却するのではなく、間隔を開けながら繰り返すと安心です。

また、強くこすったりかきむしったりすると色素が抜けるだけでなく、感染症や色ムラの原因になります。症状が長引く場合は、自己判断せずに必ず施術を受けたクリニックに相談しましょう。

2回目の施術で理想のアートメイクを完成させよう

アートメイクは1回の施術だけでは色素の定着が不十分になりやすく、理想の形や色みを長く保つためには2回以上の施術が欠かせません。特に2回目の施術は、色ムラや形の微調整、色持ちの向上など仕上げの役割を担っています。

施術を受けるタイミングは、肌状態や色素の抜け具合を確認し、1~3カ月後を目安に医師や施術者と相談して決めることが大切です。また、施術後のアフターケアを怠らず、保湿や紫外線対策、水分や摩擦の回避を徹底しましょう。こうした心がけが、色素の定着を促し、美しい仕上りを維持しやすくなります。適切な施術と正しいケアを重ね、理想のアートメイクを完成させましょう。

記事の監修者

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日本メイクアートアカデミー 代表 柿崎 暁

                           

2001年に日本アートメイクアカデミーを開校し、アートメイクを含める美容コンテストの主催や審査員を歴任しながら、これまで数千名の卒業生を排出している

                           

日本アートメイクアカデミー代表の柿崎 暁です!資格取得や眉メイクに関する情報を発信しております!