額の生え際を整える「ヘアラインアートメイク」は、M字や広めの額をカバーし、小顔効果や若々しい印象を表現できる施術です。一方で、仕上がりの不自然さや肌トラブル、将来的な薄毛との不整合など、見落とせないデメリットも存在します。

本記事では、ヘアラインアートメイクのリスクや後悔しないための注意点、施術者選びのポイントまで詳しく解説します。施術を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

ヘアラインアートメイクとは?|髪の生え際の形を整える施術

ヘアラインアートメイクとは、生え際に専用の色素を注入して毛流れを再現し、自然な見た目に整える美容施術です。額の形を美しく見せたり、広めの額やM字型に後退したラインをカバーしたりする目的で活用されます。薄毛に悩む方はもちろん、顔のバランスを整えたい方や小顔効果を求める方にも人気です。

技法には、1本1本の毛並みを描く「毛並み風」、ふんわりとぼかす「パウダー」、両者を組み合わせた「ミックス」などがあり、希望の仕上がりや肌質に応じて選べます。施術により顔全体の印象が引き締まり、自信にもつながるでしょう。また、ヘアセットやメイクの手間を軽減できる点も魅力です。

ヘアラインアートメイクの主なデメリット

ヘアラインアートメイクは、顔の印象を整える上で有効な施術ですが、メリットだけでなく注意すべきデメリットも存在します。仕上がりの不自然さや左右差、色の退色などは、施術後に後悔する原因にもなりかねません。

施術を検討する際は、リスクを正しく理解しておくことが大切です。ここでは、主なメリットを6つ解説します。

不自然な仕上がり

ヘアラインアートメイクは、毛流れを再現して生え際を整えるため、顔をすっきりと引き締める効果が期待できます。その一方で、デザインの施術の質によっては、不自然な仕上がりになるリスクがある点も否めません。

特に、額の形や顔立ちに合っていないラインを入れてしまうと、全体のバランスが崩れ、かえって違和感を与えてしまいます。直線的すぎる生え際や、濃淡のつけ方が不自然な場合は、不自然な印象が際立ちナチュラルさから遠ざかる可能性が高いでしょう。

そのほか、施術者の技術不足により、毛並みが不ぞろいになったり色の入り方がばらついたりするケースも見られます。こうしたトラブルを防ぐには、カウンセリング時に自分の骨格や髪質に合ったデザインを相談し、経験豊富な施術者を選ぶことが大切です。

左右差や形のムラ

人の顔は左右非対称であり、施術時にその差を考慮しなければなりません。配慮が足りないまま施術を行うと、全体のバランスが崩れて見えるおそれがあります。

生え際は顔の中心に近く、わずかなズレでも正面から見て違和感が強調されやすい部位です。また、手彫りや機械による施術では、施術者の技術力や機器の精度によってムラや形のばらつきが生じやすくなります。

例えば、ラインの角度や濃淡の差、毛並みの向きが少しずれるだけでも、仕上がりに大きな差が出る可能性があるでしょう。こうしたリスクを避けるためには、骨格や輪郭に適したデザインを入念に設計し、対称性を意識した丁寧な施術が重要です。

色の退色・変色

ヘアラインアートメイクは時間の経過とともに色素が徐々に薄くなったり、思わぬ色に変色したりする可能性があります。一般的に数カ月から数年かけて退色が進みますが、そのスピードや色の変化には個人差がある点に注意が必要です。

特に、脂性肌や乾燥肌といった肌質の違い、紫外線の影響、洗顔やスキンケア時の摩擦といった日常生活の習慣が大きく影響します。適切なアフターケアを怠ると、退色や変色が早まるリスクが高まりかねません。

自然な仕上がりを維持するには、半年~1年ごとに定期的なリタッチを行うとよいでしょう。また、施術前に色素の特徴や持続期間についてしっかり確認し、肌質やライフスタイルに合ったケア計画を立てることも重要です。

肌トラブルやアレルギー反応

ヘアラインアートメイクは皮膚に色素を注入する施術です。そのため、使用される色素に含まれる金属成分や防腐剤が原因で、肌への刺激やアレルギー反応が生じるリスクがあります。

一般的に、施術直後に生じる赤みや腫れ、かゆみは一時的なものですが、体質や体調によっては数日続くケースもあるため注意しましょう。特に、金属アレルギーを持つ方は事前の確認が不可欠です。

さらに、施術器具や施術環境の衛生管理が不十分だと、細菌感染などのリスクも否定できません。施術を安全に受けるためには、衛生面に配慮されたクリニックや経験豊富な施術者を選ぶことが大切です。

修正や除去の困難さ

ヘアラインアートメイクは色素を皮膚に入れる施術であり、いったん色素を入れると色が消えるまでに数年はかかります。万が一仕上がりに不満があっても、修正や除去には限界があり、理想どおりの状態に戻すことは難しい場合があります。レーザー治療によって除去できる可能性もありますが、1回で効果が出るとは限らず、複数回の施術が必要です。

さらに、レーザー照射は肌に負担をかけるため、赤みや炎症といった副作用が出るおそれがあります。修正を繰り返すうちに皮膚が傷んで硬くなり、色素が均一に入らなくなるリスクにも注意しましょう。

将来的な薄毛との不整合

ヘアラインアートメイクは、現在の生え際に合わせて美しいラインを描ける点が魅力です。しかし、将来的な薄毛との不整合が生じるリスクもあります。

特に、若い年齢で生え際の位置を大きく下げすぎると、年齢とともに地毛が後退した際に、描いたラインだけがうっすらと取り残され、不自然な印象になりかねません。また、地毛との境目がくっきりと分かれてしまい、かえって施術部分が目立ってしまうことも考えられるでしょう。

このように、将来的な髪のボリュームや後退のリスクを考慮せずにデザインすると、加齢に伴って調和が取れなくなり、修正の難しさや見た目の違和感につながるおそれがあります。施術を検討する際は、短期的な美しさだけでなく、長期的な変化も視野に入れたデザインの選定が重要です。

ヘアラインアートメイクが向いていない人の特徴

デメリットで触れたように、肌質や将来的な髪の状態、維持面の都合によってはヘアラインアートメイクの施術が向いていない人もいます。リスクが考えられる場合は、慎重な判断が必要です。

ここでは、向いていない人の主な特徴を2つ解説します。

敏感肌やアレルギー体質の人

敏感肌やアレルギー体質の人にとって、ヘアラインアートメイクは慎重に検討すべき施術です。使用される色素には金属成分や防腐剤などが含まれているケースがあり、これらに肌が反応して赤み・かゆみ・かぶれなどのトラブルが起こる可能性があります。

また、施術器具やインクの衛生状態によっても肌荒れや炎症が生じることがあり、一般的な肌質よりもリスクが高くなりがちです。アートメイクは皮膚の表面に針を使って色素を注入するため、肌のバリア機能が弱い人にとっては刺激が強すぎる場合もあります。

肌に不安がある場合は、リスクを十分に理解した上で慎重に判断することが大切です。

薄毛が進行している人

薄毛が進んでいる人がヘアラインアートメイクの施術を受ける際も、慎重な判断が求められます。

特に頭頂部から前頭部にかけて薄毛が進行している場合、アートメイクで描いた生え際と地毛との境界がはっきり見えてしまい、不自然な印象を与えるおそれがあるため注意しましょう。施術直後は見た目が整ったように感じても、将来的にさらに毛量が減ると、デザインのバランスが崩れたり、修正が難しくなったりする可能性も否定できません。

アートメイクは一度入れると除去が難しく、薄毛の進行状況に応じた柔軟な対応がしにくくなるというリスクもあります。また、薄毛の悩みを隠そうとしてアートメイクを選んだ結果、かえって違和感が強調されるケースもあるため、一時的な見た目の改善だけで判断するのは避けましょう。

ヘアラインアートメイクを失敗しないための対策

ヘアラインアートメイクのデメリットを回避するためには、施術前後の準備とケアが欠かせません。事前に不安や疑問を解消し、将来的な変化を見据えた上で計画的に進めることが、満足度の高い仕上がりにつながります。

ここでは、後悔しないために押さえておきたい対策を3つ解説します。

カウンセリングで十分に相談する

ヘアラインアートメイクでの失敗を防ぐには、施術前のカウンセリングで施術者と十分に相談する必要があります。理想の仕上がりや現在の悩みだけでなく、将来的な髪型の変化や薄毛リスクについても率直に話し合いましょう。

また、カウンセリングでは症例写真やデザインシミュレーションを活用し、仕上がりイメージの具体的な共有も欠かせません。特に生え際のラインや濃さ、毛流れの方向など細かい部分の擦り合わせは不可欠です。

施術後のケアを徹底する

ヘアラインアートメイクの仕上がりは、施術後のケアによって大きく左右されます。例えば、施術当日は、洗顔や運動、飲酒などの血行を促進する行為は、施術部位に刺激を与えるため避けたほうが無難です。

また、施術後の皮膚はデリケートな状態であり、紫外線対策や保湿ケアが欠かせません。紫外線を浴びると色素が退色しやすくなり、施術の効果が薄れる可能性があります。自然な印象を長期的に維持するには、こうしたケアの徹底が大切です。

リタッチのタイミングや費用も確認しておく

ヘアラインアートメイクの効果を長く維持するには、色素の退色に備えて定期的なリタッチが必要です。施術から数カ月~1年ほどで色が薄くなり始めるケースが一般的であり、タイミングを見てリタッチを受けることが推奨されます。

多くのクリニックでは、初回施術よりも割安に設定されていますが、複数回施術を受けることを想定して総額を把握しておくと安心です。初回のカウンセリング時に、リタッチの目安や費用についても細かく擦り合わせましょう。

ヘアラインアートメイクの施術者を選ぶポイント

ヘアラインアートメイクの成功は、施術者の技術や経験値に影響されます。施術を依頼する際は、安全性や仕上がりの自然さ、術後のフォロー体制などを基準に選ぶことが大切です。ここでは、選定のポイントを3つ解説します。

医師、看護師もしくは准看護師の免許を保持している

ヘアラインアートメイクは皮膚に色素を注入する医療行為にあたるため、医師、看護師もしくは准看護師の資格を持つ医療従事者が施術を行うことが法律で定められています。なお、看護師または准看護師が施術を行う場合は、医師の指示・管理下にあることが求められます。資格を保持しているかどうかは、施術の安全性や万が一のトラブルへの対応力に直結する重要なポイントです。

特に顔まわりの施術は、より一層リスクが伴う箇所です。施術を受ける前には、担当者の資格や所属医療機関を確認し、信頼できる環境で施術を受ける必要があります。

施術実績が豊富にある

ヘアラインアートメイクで満足のいく仕上がりを得るには、施術者の実績も重要な判断材料となります。施術経験が豊富であればあるほど、顔の輪郭や骨格に合わせたデザイン力や、針の扱い・色素の定着に関する技術や知識も豊富にある可能性が高いでしょう。

特に初めて施術を受ける際は、過去の症例写真やビフォーアフターの比較を見て、仕上がりのイメージを確認しておくと安心です。クリニックの公式サイトやSNSに症例が掲載されているかどうかをチェックし、自然で違和感のない施術が行われているかを見極めましょう。併せて、口コミや評価も確認した上で、人気のある施術者を選ぶことをおすすめします。

カウンセリングやアフターケアに対応している

ヘアラインアートメイクの施術を受ける際は、カウンセリングやアフターケアに対応しているクリニックを選ぶことも大切です。

施術前には、仕上がりのイメージや不安点について丁寧に説明してくれるかどうかを確認しましょう。十分なカウンセリングがあれば、自分の希望と施術内容のズレを防ぎやすくなります。

また、施術後に肌トラブルや違和感が生じた際、すぐに対応できる体制が整備されている点も重要なポイントです。定期的なリタッチや経過観察など、長期的なサポートが受けられるクリニックであれば、より安心して施術に臨めるでしょう。

自分に合った唇の形を理解して理想に近づけよう

ヘアラインアートメイクは、顔の印象を整える魅力的な施術である一方で、不自然な仕上がりや将来的な不整合などのリスクも伴います。後悔を防ぐためには、デメリットを正しく理解し、自分に合った施術者や技法を選ぶことが大切です。

カウンセリングやアフターケアの体制も含め、慎重な判断と丁寧な準備を重ね、満足度の高い仕上がりを目指しましょう。

記事の監修者

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日本メイクアートアカデミー 代表 柿崎 暁

                           

2001年に日本アートメイクアカデミーを開校し、アートメイクを含める美容コンテストの主催や審査員を歴任しながら、これまで数千名の卒業生を排出している

                           

日本アートメイクアカデミー代表の柿崎 暁です!資格取得や眉メイクに関する情報を発信しております!